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都市改革案:都市マスタープランを有効に機能させ、かつこれを現実化させるために、「建築確認を許可制に変える」
住民参加による、地域にふさわしい 都市計画・まちづくりを促す戦略的法案 何が問題か 現在の都市マスタープランは次のような理由でほとんど実効性がない。 マスタープランにはどこでも「生き生きするまち、 高齢者にやさしい町、環境優先」などなど誰も反対しようもないことが書いてある。しかしこれを実現するための都市計画は、このようなスローガンとは全く無縁である。 現行法は都市を線引き、用途地域、高さ制限などによって、秩序化し整理しようとしている。しかしそこには「機能」 だけがあり、文化や歴史あるいは美しさなど一つもない。さらに都市は道路などのインフラの整備や都市再開発や 区画整理などによって近代化していくとされているのであるが、そこでも地域経済や雇用・機能などが重視されていて、そこで暮らす人々の生活は軽視されてきた。 いわば初めから紙の上のプランに過ぎないことを、行政も議会もそして住民もがわかっているのである。手続き的にもマスタープランは行政が勝手に創るだけで、議会や住民(都道府県のマスタープランは都市計画決定。しかし、最も身近な市町村マスタープランは行政だけで決める)は実質上かほとんど関与できない制度になっていた。従って、都市計画(まちづくり)は、 ほとんどの人々にとって「無関心」ということになっているのである。従ってまずこれを実行力あるものにするためには、マスタープランに住民の意見を反映させながら、 しかもこれを議会で議決して「法的な拘束力」があるよ うにしなければならない。法的な拘束力とは、このマスタープランを実現するための権限、財源そして組織を整えるということと、これと外れるような開発などは認めな いということである。外国では、このマスタープランと法 的拘束力をとても重視しており、私たちが見る外国都市はほぼこのマスタープランと一致しているのである。 しかし、これからが法制度のややこしく、難しいところなのであるが、マスタープランをこのように法的拘束力あるものにすれば万事うまくいくかというとそうではない。もう一つクリアしなければならない本質的なバリアーがある。それが「建築確認」という制度である。 建築基準法は、建物(工作物を含む)に着目して、その高さや容積あるいは安全や衛生をチェックしようとする法律であるが、これらすべについてその基準(線引き・ 用途地域及び容積率など)を国が決め、自治体(あるいは民間指定確認機関)は、事業者から提出された計画がそれら基準に適合していれば必ず建築確認(着工OKの合図)を出さなければならないとしていた。行政に対して余計なことを言わせず、できるだけ早く建築を推進させようというものであり、これは戦後住宅難時代にはそれなりに有益な制度であった。しかし今となっては問題が多すぎる。 1 全国画一的に定められていて、自治体はその中からいくつか選択するという以外に裁量の余地がない。つまり地域の文化や歴史あるいは自然条件などを反映させられないのである。 2 基準は極めてゆるく、全国どこでもほとんどなんでも建ててよい、というようになっている。ちなみに北海道や沖縄の建築について東京で建築確認手続きをすることも可能である。 3 議会や住民が参加する余地はなく、自治体が地域の実情を反映するため条例などを定めると違法とされる。 4 建築はすべて市場原理で動くため、儲かりそうなところにはどんどん超高層などが建築されるが、建築しても売買できないあるいは賃貸できないというようなところは見捨てられる。 などなどである。多分それまで平穏に暮らしていた地域に突如これまでの地域にはない「異様」な建物が出現し、しばしば建築紛争を巻き起こす、というような事態は外国(先進国など)にはあまり見られない不思議な現象といえるであろう。郊外に突如巨大スーパーが建築され、地域の商店街が軒並み廃業に追い込まれる、などというのは日本では日常茶飯の事態となった。これら地域住民にとって建物を建てる「まちづくり」は今や不愉快・ 迷惑もっと言えば「敵」そのものと同義になっているのである。 そこでこのマスタープランを有効に機能させ、かつこれを現実化させるために、「建築確認を許可制に変える」、というのが今回の改正の目玉商品となっている。 建築許可制は日本以外の多くの国で採用されている制度であり、これはおおよそ次のようなシステムとなっている。 マスタープランには、地域の戦略目標やアクションプランが書き込まれる。 マスタープランは住民参加は不可欠であり議会の議決によって拘束力を持つ。 自治体は、事業者から提出された建築計画が、このマスタープランに適合するか否かを審査(判断が難しい場合は有識者などからなる第三者機関によって審査)し、またマスタープランに適合するよう積極的に事業者を誘導する。 自治体の審査や誘導に不服ある事業者及び住民は、第三者機関に対して不服を申したてることができる(最終的には裁判所による判断)。 許可制を採用・実施するにあたって、これまでの都市計画あるいは都市計画外の基準(たとえば国土利用計画法による土地利用区分など)、さらには現行法では都市計画外の基準とされている景観などの基準は、自治体の裁量(住民参加と議会議決そのほかに市町村の場合は都道府県などとの協議を経て)、即時にあるいは暫時これを変更していくことができる というようにするのである。 もう一つ重要な問題は、開発や建築等は都市計画のマスタープランに従わなくても可能だ、ということです。都市の形成や改変は、民間が担っています。都市は、地権者と事業者が行う開発や建築によって形成されています。このことから、民間の開発や建築に適用されない都市法では、都市マスタープランの実効性が弱い、と常に指摘されてきました。この改正方針では、区市町村がマスタープランを市民参加を経て議会の議決により策定すること、市民が区市町村のマスタープランの内容について提案ができること、区市町村がマスタープランに基づいて都市計画が行われ、また、開発許可や建築許可が行われる、という制度設計にしています。 これに対して建築許可は、自治体の長が、都市の将来像を描いた都市マスタープランに整合しているかどうか、周辺の環境や街並みにあっているかどうかを審査し許可をする「裁量権のある」制度です。この建築許可制度は世界の常識です。 自治体(の長)の裁量により許可するかどうかが決まる、というのは公平性、公開性等の観点から問題があるのではないか、という意見もあると思います。そこで、この建築許可は、市民参加により策定され、議会議決によって公定化された都市マスタープランと、その都市マスタープランに基づいて建築や開発の基準として議会議決により定められる条例に照らして適正かどうかを自治体(長)が決める制度として提案をしています。また、許可にあたっても、市民が参加できる、開発や建築が、果たして都市マスタープランに整合しているか公開で議論ができるようにしています。 このような方法によって、質の高い開発や建築が進み、美しい、そして持続可能な都市が形成されるのです。そして、都市づくり市民が積極的に参加すること、市民、事業者、そして行政の協働により都市を創ることによって、都市に誇りと愛着が持てるようになるでしょう。 ○マスタープランは、市民参加により策定されること、議会議決により公定化されること、(区)市町村が定める都市計画を拘束すること、NPO等市民団体が都市マスタープランの提案ができることを規定しています。いわゆる「計画適合」と言いますが、開発行為及び建築にあたっては、マスタープランに整合する必要があります。 ○これまで市民によるマスタープランの提案制度はありませんでした。市民参加の場面では、市民提案に対する行政からのレスポンスがない中、計画内容の最終判断は行政が行うという「疑似参加システム」であるワークショップ等により市民参加が行われてきました。 ○改正案により、市民はマスタープラン案を提案することができ、マスタープランは議会議決を要することとなります。このことにより、(区)市町村は、この提案を真摯に受け止める責任が生まれてきます。 ○すべての都市計画、開発行為、建築の際の最高規範は、(区)市町村が定めるマスタープランです。そこで、マスタープランの実効性を高める措置を講 じます。 ○都市計画区域や準都市計画区域は、都市マスタープランに基づいて指定します。これまで都道府県の権限であった都市計画を(区)市町村の権限にしようということです。 ○行政からの提案にお墨付きを与えるだけの役割だった(「上げるだけ」なので「天ぷら審議会」と呼ばれた)都市計画審議会を、独自の権限を持った専門の常設の委員会とします。 以上 議員立法をめざす、「都市改革・都市計画制度等改革基本法」より
by no16F
| 2015-06-26 16:06
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