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◇黒部丘パチンコ店の開発許可を市が下ろし、市長とその部下の説明がとうてい市民を納得させるものではないとき、ついに、近隣住民が606人の請求人を集めて不服申し立ての審査請求を提出した。
原告適格の高いハードルから、審査はもとより、請求が受理される可能性は低い。 だが、市民側が違法だと考える「市の開発地域の前面道路の判断」について言えば、次の3つのことが争点になってくるはずだ。 1)そもそもなぜ1万㎡以上の大規模開発には開発地域に接する前面道路9メートル以上が必要となっているのか(都市計画法、その他関連法規上の義務づけ理由) 2)道路に求められる役割とは何か(道路の定義) 3)道路の中央部分が地下道で実質使えないのにひとつの幅員と解釈できるものか(道路幅員の意味) 平成21年平塚市議会9月定例会の総括質問で江口友子議員が具体的にこの3点を市に問いただしている。 おおまかなやりとりの記録はすでに掲載してあるが、最近、このときのきちんとした議事録が市ホームページに更新された。以下、この3点に注目して抜粋する(全文は市ホームページの議事録をお読みください)。 市民の不服請求書と合わせて読むことで、ここの問題点がよりクリアーになってくる。 ◇平成21年9月定例会(第5日)本文: 2、平塚市まちづくり条例施行後の課題 (1)大型パチンコ店出店問題 ア、環境面を含めた諸課題 ここで大きく5点について質問をいたします。(1と2を省略) 3)パチンコ店の開発区域面積は1万平方メートルを超えます。法と条例では、開発区域面積が1万平方メートル以上で、かつ用途が非住居系建築物の場合、前面道路の幅員を9メートル必要としていますが、なぜ前面道路の幅員を9メートル必要としているのか、幅員の法の趣旨を説明してください。 4)情報公開条例に基づいて開示された平塚市の公式文書、「黒部丘(株)ニラク開発事業における前面道路の扱いについて」では、市の考え方が明示されています。 ここで、この公式文書の一部を引用いたします。「開発区域の前面道路は、県道61号(平塚伊勢原線)であり、幅員は25.48メートルである。出入り道路は一方通行で、幅員は5.24メートルから7.8メートルあり、地下道部分を挟んで反対側にも一方通行があること。また、平塚駅桃浜町線に接続していることなどの立地条件も勘案し、交互通行のできる一体道路と判断する。地下道部分を除いた幅員は10.24メートルである。したがって、9メートルの要件を満たしている」とあります。 そこで、4点質問します。 1、現時点においても、前面道路の扱いはこの公式文書と同じでしょうか。 2、何をもって交互通行のできる一体道路だと判断したのでしょうか。 3、前面道路の扱いは、裁判事例をすべて調べた上での判断なのでしょうか。 4、そもそも前面道路の機能とその役割というのは何でしょうか。 5)さきの6月議会の最終日に、「大型パチンコ店出店に反対する請願」が、全議員一致の趣旨採択の結論を得ています。市長は、これをどのように受けとめているのでしょうか。 (2)大規模土地取引行為の届け出。 ここで2点質問いたします。 1)大規模土地取引行為の届出制度について、その内容と目的、運用概要を聞きます。また、同制度に基づいて、大型パチンコ店出店に関して調整会議が開かれていますが、この審議内容の詳細と、その結論、審議に要した時間、出席したメンバーについてお聞きします。 2)平塚市は届け出のあった土地利用の転換について、特段の協議事項の有無を行政職員だけで判断しています。その前に、客観的な意見を得るために第三者が検討する場面をつくるべきではないでしょうか。市長の御見解をお聞きします。 以上で1回目の質問を終わりにします。 ◯久永逸雄まちづくり政策部長:(1と2の回答は省略) 次に、3点目の、なぜ前面道路の幅員を9メートル必要しているのか、法の趣旨を説明してほしいについてでございます。 開発許可の基準を適用するについて、必要な技術的細目は都市計画法施行令第25条に規定されており、同条第2号で、「予定建築物等の用途、敷地の規模等に応じて6メートル以上、12メートル以下で、国土交通省令で定める幅員以上の幅員の道路が当該予定建築物の敷地に接するよう配置されていること」とされています。 これを受けて、国土交通省令第20条では、住宅の敷地、または住宅以外の建築物、もしくは第1種特定工作物の敷地で、その規模が 1000平方メートル未満のものにあっては6メートル、その他のものにあっては9メートルと定められていますので、本件開発区域が接しなければならない道路は9メートルとなります。 法の趣旨として、その他のものを9メートル以上としたのは、この程度の規模のものになれば大型車等による頻繁な交通も予想されるため、「自動車交通の利便を考えると同時に、歩行者の安全を確保する」ということから定められており、開発区域内道路の規定ではありますが、都市 計画法施行令第25条第5項の規定により、歩車道分離が確保される最低幅員にあわせまして、9メートルとしたものでございます。 次に、4点目の前面道路の扱いについて、4点の御質問をいただきましたので、順次お答えをいたします。 まず、現時点においても前面道路の扱いは情報公開で開示された公式文書と同じかについてでありますが、考え方は同じでございます。前面道路は県道61号であり、現況の全幅員から使用できない地下道部分を差し引いた部分が10.24メートルありますので、9メートル以上の要件を満たしております。 次に、何をもって交互通行のできる一体道路だと判断したのかについてでありますが、出入り道路は一方通行で、幅員は5.24メートルから7.8メートル、 5.0メートルから8.5メートルあること、また事業地に隣接した位置で、平塚駅桃浜町線に接続していること等の立地状況を勘案し、判断をいたしました。 次に、前面道路の扱いは、裁判事例をすべて調べた上での判断なのかについてでありますが、開発事業地はおのおの立地する状況が異なるため、事業地周辺の状況を開発許可基準に基づき、個別具体的に判断をするのが法の趣旨でありますので、裁判事例を調べて判断したものではございません。 次に、そもそも前面道路の機能とその役割は何なのかについてであります。 道路は、国民の日常生活や社会経済の活動を支える最も基礎的な社会資本であり、極めて多面的な機能と役割を持っています。 道路の機能は、大別して交通機能、土地利用誘導機能、空間機能の3つに分けられます。 1つ目の交通機能は、さらに人、車の通行機能と沿道の土地建物、施設への出入り機能に分けられます。両者の関係は、規格の高い道路では走行速度、走行快適性が重視され、逆に居住地内の道路等では、速度よりアクセスが重視される関係にあります。本件の事業地前面の道路は、人、車の通行と、沿道の土地建物、施設への出入りが大きな役割と考えます。 2つ目の土地利用誘導機能は、アクセスがもたらす間接効果であり、新たな市街地形成などに大きな役割を果たします。 3つ目の空間機能は、避難路、火災延焼防止遮断空間としての防災空間、採光、通風としての生活環境空間、電力、電話、上下水道等の公共公益施設の収容空間としての役割がございます。 次に、5点目のさきの6月議会で「大型パチンコ店出店計画の中止を求める請願」が全議員一致で趣旨採択されたが、市長はこれをどのように受けとめているのかについてであります。 今回の開発事業計画について、近隣住民を中心に反対運動がなされ、また6月議会でも大型パチンコ店出店に反対する請願が趣旨採択されたことにつきましては 承知をしてございます。しかしながら、6月議会で御答弁申し上げましたとおり、予定建築物が用途地域に適合し、都市計画法に定める基準に適合し、その申請手続が適法であるときは、これを許可しなければなりません。また、法に適合していれば、その判断を変更する等の裁量の余地はないものと考えてございます。 続きまして、(2)大規模土地取引行為の届け出について、2点の御質問をいただきましたので、順次お答えをいたします。 まず、1点目の届け出の制度内容と目的、運用概要。また、大型パチンコ店出店に関しての調整会議の審議内容と、その結論、審議時間、出席したメンバーについて、お答えをいたします。 大規模土地取引行為の届け出制度は、市街化区域内において5000平方メートル以上、市街化調整区域内においては3000平方メートル以上の土地に関する所有権等の権利移転等の契約を締結するときは、その契約の6カ月前までに、その内容を市長に届け出なければならないことを規定したものでございます。 この制度の目的は、大規模な企業用地等が社会環境の変化に伴い、土地利用転換される傾向がある中で、その動向を早期に把握することで、都市マスタープランなどのまちづくり基本計画や市の施策に整合した土地利用となるよう誘導することを目的としています。 運用概要につきましては、届け出を受理した後、届け出内容と市の各種計画や施策との整合性について、庁内の調整会議で協議をします。その調整会議において、市の施策等に支障がないと判断した場合は、土地所有者や協議事項がない旨を通知しますが、協議事項があると判断され、都市計画審議会の意見を聞く必要がある場合は、都市計画審議会の意見を聞いた上で協議事項が決定され、土地所有者へ協議を申し入れ、調整を行うことになります。 今回の調整会議の審議内容につきましては、当該地で予定されている土地利用がまちづくり基本計画や市の施策との整合が図られているか、また著しく周辺環境と調和しない土地利用かどうかを審議いたしました。その結論といたしましては、まちづくり基本計画や市の施策上、予定されている土地利用が特に支障となるものではないことから、協議事項なしと決定いたしました。審議時間はおおむね20分でございます。 調整会議に出席したメンバーは、両副市長を初め、企画部長、防災危機管理部長、経済部長、環境部長、まちづくり政策部長、まちづくり事業部長、土木部長、学校教育部長、消防長の11名となっております。 次に、2点目の客観的な意見を得るために第三者が検討する場面をつくるべきではないかについてであります。 当該届け出は民民の間で行われます契約前の届け出であり、契約行為の内容が公になることによって、譲渡人及び譲受人に対し不利益が生じるおそれがあることからも、調整会議前の第三者のかかわり方につきましては、慎重を期すべきと考えております。 今後、条例の見直しにおきましては、他市の事例や議員、市民等からの御意見も含めまして、仕組みや手続などについて検討をしてまいります。 以上でございます。 ◯3番 江口友子議員:それでは、パチンコ店の問題についてから再度質問していきます。 前面道路の幅員は9メートル必要ですよという、その法の趣旨の説明がありました。非常によくわかりました。つまり、9メートルの道路が開発区域に接してないといけませんよと。しかも、その9メートルの幅員の道路は、大型車両が入ってきて交互通行できる、かつ歩行者も安全が確保できる道路ですということだったと思います。しかし、実際はパチンコ店の開発区域面積に9メートルの道路に接してないわけです。9メートルの道路幅は接してない。にもかかわらず、つまり そうするとダンプカーやトラック等が入って来られない。いざというときは、消防車両や緊急車両がその9メートル幅員が十分あれば入って来られるけれども、入って来られないということになっています。これは法の幅員で定めている立法趣旨には反しているのではないかというふうに考えています。 わかりやすい例として、建築基準条例でマンションと接道の長さ、マンションが接している接道の長さについての規定があります。大きなマンションは、その開発区域が道路に6メートル接してないといけませんよというふうになっています。それは連続して接してないといけませんというふうに規定されています。つまり3メートル接していて、また3メートル接して、合計で6メートル接しているから確認をおろすというふうにはなってない。あるいは、2メートル、2メートル、2メートルの出入り口が道路に接しているから確認をおろすというふうにはなってないです。どうしてかというと、2メートルの出入り口には消防車両とかが入って来られないから、その法の趣旨である機能を満たせないから確認をおろさないわけですよね。しかし、今回の場合は、前面道路9メートルを連続して区域に接してないといけませんよと言っているにもかかわらず、その道路幅員を地下道のこっち側と、地下道を挟んだ向こう側を足すから9メートルあるので、それは道路法上の道路幅員を満たしているから遵法ですよというふうに平塚市は判断をしているわけです。 これは、先ほど言ったマンションの敷地面積が6メートル道路に接してないといけませんよと。それは、分割してはいけないという法の趣旨を平塚市はきちんと守っていると思うのですけれども、どうして、このパチンコ店の問題については9メートルの前面道路の幅員を分けて、その機能が満たしてないにもかかわらず、これを前面道路だという扱いをしているのか、きちんとその機能を説明していただきたいというふうに思います。 今回、パチンコ店に接してない、前面道路が実は連続して接してなくて、間には地下道が入っている。それは掘割になっている地下道だから、側道と側道を足して、あわせると一体だと考えるから、それは9メートルを超えていますよと言っていますけれども、実際それは9メートルの幅員の法の趣旨に適合しないのではないでしょうか。 確かに開発許可、今答弁にもありましたように、基準に適合したら許可しなければいけないというふうに書いてあります。しかし、その法の趣旨を、ですから許可自体を留保することはできないかもしれませんけれども、しかし、それが基準に適合しているか、いないか、その規定がつくられたときの背景や趣旨に合致しているかどうかということに立ち返って、平塚市長はきちんと判断しなくてはいけないというふうに思います。 大型パチンコ店の前面道路の取り扱いが開発許可の基準に適合しているかどうかという結論は、ここで法の趣旨に立ち返って考えれば、今それがやっぱり基準には適合してないという判断を市長が出したとしても、合理性を欠くものではないというふうに私は考えていますが、市長の御見解をお聞きしたいと思います。 弁護士から、この平塚市の前面道路の取り扱いについては、法的に好ましくないという指摘が幾つも出てきています。市長は、弁護士の見解を聞いてから許可を出すか、出さないか判断した方がいいのではないでしょうか。議会での趣旨採択、請願の趣旨採択をここで出すまでもなくて、議会と市民も両方ともに願いは一緒です。であるにもかかわらず、ここで早急に前面道路の9メートルの幅員の法の趣旨に立ち返って考えずに、こっちと向こう側の道路幅員が合計しているからといって、それを前面道路だとしてゴーサインを出すのは、私は市長としては非常に大きなかじ取りの間違いを犯してしまうことになりかねないと思いますので、慎重に判断をしていただきたいと思います。弁護士の見解を聞いてから、その判断材料を集めていただきたいと思いますが、市長のお考えをお聞きしたいと思います。 ◯大藏律子市長:江口友子議員の再質問にお答えしたいと思います。 パチンコ店の問題について、今、争点になっている前面道路9メートルの幅員を、平塚市が解釈しているとおりでいいのか、それは合法的ではないのではないかという御意見だったと思います。全体としての発言の中に、議会での請願の趣旨採択等の重さも十分にしんしゃくをして判断をすべきではないかという思いが込められていたと思います。 先ほど来、あるいは6月議会でも御答弁申し上げましたが、市街化区域に開発の許可を申し出られたとき、開発の申請を受けたとき、許可すべきか、すべきでないかということについて、都市計画法上の手続がきちんと踏まれて、違法性がないとすれば、市長の裁量権はなくて、許可をしなければならないということになっていますから、請願が趣旨採択されたから、されないからということを、その判断の1つに、許可、不許可の判断をするときに使うことはできないというふうに思っています。ただ、市民の思いとか議会が採択した重さというものは、十分に私も真摯に考えているということは申し添えておきたいと思います。 そこで、今回の場合ですが、平塚市は前面道路が61号線であり、そして9メートルあっても相互交通が可能でなければだめだけれども、片側一方通行が地下道部分を挟んで両方にあると、それ以外に、ただUターンするだけの一方通行ではなくて、市道に接続をしているということで、交通の機能を果たしているという判断を現在のところしているわけですが、前面道路9メートルの幅員問題が、解釈の仕方によって違う結論もあり得るのではないかという議員さんの御指摘もございますし、私としては最終の判断を、許可を出すか、出さないかという最終決定をする前に、弁護士の御意見も十分にお聞きして、しんしゃくをし、最終判断をしたい、そんなふうに今考えているところでございます。 ◯久永逸雄まちづくり政策部長:この開発区域、開発の事業エリアの前面に接する道路は、すべて全面的に、一部一部ではなくて、全面的に9メートル以上という規定ですので、開発区域がございますが、その前面道路が接する面、全部が9メートル以上接しているというのが開発許可要件ですよね。(3番江口友子議員「私が質問したことと御回答が違うのですけれども。建築基準条例で定めている、6メートル道路に接してないといけない。例えば大きなマンションをつくる場合に。そのときは分けて、道路を分断して出入り口を接しているというふうにはしませんよね。それは連続して6メートル接してないといけないと言っているにもかかわらず、今回は何で9メートルの道路幅員を分断して、それを足して、合計幅員が9メートルを超えているから大丈夫だとしているのかというふうに聞いたのです」と述べる)それを分断しているというのは、私ちょっとわからないのですが、敷地面積に対して、並行方向に分断しているという意味ですか。それとも垂直方向に分断という、どちらですか。(3番江口友子議員「何の敷地ですか」と述べる) ◯金子修一議長:解釈の問題ですから、改めて質問してください。(3番江口友子議員「いえ、違います。解釈の問題ではありません」と述べる)(「全然答えてないじゃないか」「答弁してないよ」「全然答えてないよ。何で政策部長がわからないの」と傍聴席から述べる者あり) ◯3番 江口友子議員:御答弁をいただきました。私がここで問題にしたいのは、9メートルの道路が開発区域に接してない。接してないにもかかわらず、その機能が9メートル幅員の道路の役割を果たしていけるのかどうかということを聞いているのです。それは、こことここを足して9メートルだから、合計幅員が9メートルだから大丈夫だというのは、その9メートル幅員の法の趣旨を達成しているのか、というふうにお聞きしたいと思います。 以上、よろしくお願いいたします。 ◯久永逸雄まちづくり政策部長:まず、前面道路ということで、前面道路は、先ほど申しましたように県道61号が前面道路になります。ただ、そこで幅員を算定するに、地下道部分を除いて10.何メートルあるから9メートル以上あるということなのですが、そこで法が言って います車両の通行、あるいは通行者の安全という、そういった機能に支障があるかどうかということですが、あそこは5メートル、出入り道路は5メートルの一方通行になります。出口も一方通行なので5メートル以上の道路があるわけです。そうしますと、そこの道路を通行する機能、あるいはそこの敷地に、隣接地に入る出入りの機能、9メートルの道路機能、それと同等以上は満たしているというふうに判断をしております。 以上、市ホームページにある議事録からの一部転載終わり 次に、道路機能と道路幅員での審査請求書にある市民側の主張を紹介する。(審査請求書から一部抜粋) 全文と詳細はこちらからお読みください。→http://kokorono-uta.net/kokorono-uta/ (考える会代表のホームページ) 2.本件前面道路の解釈は、都市計画法の制度趣旨に反するものである 本件前面道路は、中央部分が浜岳地下道によって分断されるため、地下道をはさんだ両側道を物理的に一体に利用することができない。それにもかかわらず、本件前面道路が「ひとつの道路」かのごとくに幅員を合算する解釈は、都市計画法上認められない。 およそ道路というものは、一見して双方向に交通が流れさえすれば、それを「ひとつの道路」と認められる性質のものではない。交通の機能は道路の役割や効用に含まれるが、それは道路の効用の一部分でしかない。例えば他の効用のひとつとして、消防車や緊急車の通行の確保や、被災者の避難路・物資の緊急輸送路としての利用を含む防災空間としての機能(安全確保機能)が挙げられる。本件前面道路は前段に述べたごとく、浜岳地下道によって中央を分断されるため、10メートル余りの幅員を物理的には一体に利用できない。仮に本件開発地域に対して緊急車両を出動させる必要や、本件開発地域から避難の必要に迫られた場合には、現実に道路として機能するのは本件前面道路全体ではなく、西側側道部分のみである。すなわち、10メートル余りの幅員の効用や性能は、道路の機能の重要な一つである防災空間(安全確保機能)の局面からは発揮されないことになる。このような道路の有する重大な機能を等閑視し、限られた機能のみを具備する道路を「ひとつの道路」とみなし、それをもって幅員を画定すべきではない。 前段において述べた本件前面道路の解釈の誤りは、根拠法である都市計画法の趣旨によっても裏付けられるところである。すなわち、一般に都市計画法施行令25条2号の最小幅員要件は、最小限必要な道路の密度、間隔を確保しようとするものであるとされ、ここには交通機能のみならず、防災空間を確保する機能をはじめ、道路の全体の効用が含まれる。現に、より具体的に最小幅員要件の制度趣旨を見た場合、「消防活動等に際し、消防車が他の車両とすれ違い可能な幅員であること」といった防災という視点も含まれると一般的に説明されることは、都市計画法が少なくとも交通機能だけを念頭に置いているのではないということ、そして進んで考えれば「道路としての効用に欠くところのない道路」を想定していることを証明する。以上のように、開発行為許可処分の最小幅員要件の制度趣旨に依拠すれば、本件前面道路の解釈はおよそ採り得ないものであることが明らかである。 また、そもそも都市計画法の究極目的には、公共の福祉の増進に寄与すること(1条)が掲げられている。人間の生命・身体という重大な法益を擁護するために、防災空間(安全確保機能)の確保がきわめて重要であることは多言を要しないが、人間の生命・身体を害するおそれのない都市を形成することは、この都市計画法の究極目的ときわめて適合的であり、本件前面道路の解釈が適切さを欠くものであることを裏付けるものである。仮に本件前面道路の解釈を許容しようものなら、切迫する東海地震や南関東直下地震の際に、避難路や緊急車両の進入路が十分に機能せずに混乱が生じ、尊い人命が失われるといった事態も十分に想定される。防災空間を重視すべきという主張は、決して絵空事ではないのである。 4.本件前面道路の幅員は、「幅員」という日本語から乖離している 「幅員」とは、幅、すなわち横の長さのことを指すとするのが、日本語としての意味である。そして幅員ないし幅という文言を特段の断りなく用いた場合に、物理的にふたつ以上に分断された物の長さを足し合わせて、「ひとつの物の幅」であるとするのは、用語法として稀有である。法律解釈は、文言から読み取ることのできる意味から乖離のないように行うのが、基本的な姿勢である。本件前面道路の解釈は、その大原則さえ遵守されていないと言わざるをえない。 以上、審査請求書からの一部転載終わり by no16F | 2010-01-31 14:37 | まちづくり市民運動
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